【世界遺産五箇山】白川郷との違いは?おすすめの宿泊施設や名物も紹介!
今回の記事では、富山県南西部にある五箇山合掌造り集落を紹介します。
五箇山合掌造り集落は日本の原風景が観られる観光地として人気があります。
五箇山は、「ごかやま」という読み方になります。菅沼地区と相倉地区で構成されており、1995年に白川郷荻町地区とともにUNESCOの世界文化遺産に登録されました。
白川郷・五箇山の合掌造り集落は、いずれも山あいに佇む集落です。作地面積が少なく、冬には降雪の多い地域。人々は互いに協力し合って、雪や雨風の脅威に耐えうる家を建て、そこで生活を営んでいます。
合掌造りの家屋に見られる昔ながらの建築形態には、歴史的・文化的価値があると評価され、世界遺産に登録されました。
五箇山へのアクセス
五箇山へ行くときは高岡駅または新高岡駅から世界遺産バスを使うのが最も便利です。
他の地域から各集落へ行くときは以下のようになります。
所要時間 | ||
富山から | 約2時間 | 富山駅-(あいの風とやま鉄道)→ 高岡駅-(世界遺産バス)→ 菅沼、相倉 |
金沢から | 約1時間10分 | 金沢駅-(北鉄バス)→ 菅沼 ※相倉は降車不可 |
東京から | 約4時間30分 | 東京駅-(北陸新幹線)→ 新高岡駅-(世界遺産バス)→ 菅沼、相倉 |
白川郷と五箇山の違い
以下が大まかな白川郷と五箇山の違いです。
白川郷 | 五箇山 | |
都道府県 | 岐阜県 | 富山県 |
江戸時代の行政区分 | 天領(幕府直轄地) | 加賀藩 |
合掌造り家屋の数 | 60棟(明善寺庫裏含む) | 相倉20棟、菅沼9棟 |
建築形態 | 切妻造り | 入母屋造り |
茅葺の刈り方 | きれいに揃えて刈られている (力強い印象) | 丸めに刈られている (優美な印象) |
玄関 | 屋根の斜面側 | 屋根の妻側 |
文化的特徴 | どぶろく祭り、 報恩講(仏教の催事) | こきりこ節 |
白川郷の合掌造り家屋(補足)
白川郷の合掌造り家屋は、以下の理由で妻(屋根の無い部分)が南北に向けられています。
- 茅葺屋根は一日中日が当たり、融雪を促進できる
- 風の当たる面積を少なくできる(白川郷は南北から強い風が吹くという地形的特徴があるため)
- 夏は逆に屋根裏部屋の窓を開放し、風通しを良くして飼育している蚕が暑さで弱らないようにする
五箇山の合掌造り家屋(補足)
五箇山の合掌造り屋根は、入母屋造りに近い構造です。白川郷よりも湿気が多く重い雪が降る(積雪は50〜150cm程度)ため、白川郷よりも屋根の傾斜角度が大きいのが特徴です。
このように違いを見ていくと、白川郷が江戸幕府の影響が強いのに対し、五箇山は加賀藩の影響で上品なイメージに仕上がっています。また、地理的条件や気候によっても建物の構造に違いが見られますね。
五箇山合掌造り集落で宿泊できる?
相倉合掌造り集落では、なんと合掌造り家屋に宿泊することができます。ただし、一日一組(2~4名)限定なので皆さんの旅行日が宿泊できるかどうか問い合わせてみることをお勧めします。
INFORMATION 勇助
住所:〒939-1915 富山県南砺市相倉591
料金(一名あたり):大人2名 13,000円、大人3名 12,000円、大人4名 11,000円、子供(5歳以上、小学生まで) 8,000円
※2023年9月より料金(一名あたり):大人2名 14,000円、大人3名 14,000円、大人4名 13,000円、子供(5歳以上、小学生まで) 10,000円
TEL:0763-66-2555
URL:https://yusuke-gokayama.com/guesthouse
大自然に包まれた合掌造り集落に宿泊し、囲炉裏を囲んで頂く食事は格別な思い出になりますよ。
五箇山合掌造り集落の名物は?
五箇山では、庄川の清らかな水で育ったイワナや山菜、天ぷら、そばなどを食べられます。富山県といえば魚が美味しい県として知られていますが、五箇山は内陸、しかも飛騨山脈の山々に囲まれているので山の幸が美味しい場所です。
それらの名物を網羅的に提供しているのが相倉合掌造り集落の「お休み処・茶屋 まつや」です。
INFORMATION お休み処・茶屋 まつや
住所:〒939-1915 富山県南砺市相倉445
営業時間:8:00-17:00
定休日 :年中無休
TEL:0763-66-2631
そもそも合掌造りって?
合掌造りの家は海外の人から見れば大変珍しいもの。それだけに白川郷と五箇山は人気の観光地です。
とはいえ、僕たち日本人にとってもあまり馴染みのない建物ですよね。そもそも合掌造りってどんな建物で、どんな目的をもって建てられたのでしょうか?
ここでは五箇山の合掌造りの家を例に、家の構造について少し触れていきます。
合掌造り家屋の形態
合掌造りの家の特徴として最初に挙げられるのは、急傾斜の屋根を持っているということ。
屋根の形状が合掌しているようにみえるから「合掌造り」と呼ばれています。
五箇山の合掌造りは「入母屋造」に分類され、以下の2種類の屋根を組み合わせているのが特徴です。
- 切妻屋根:柱のないA型の屋根。
- 寄棟(よせむね)屋根:四方が壁に向かって下り勾配になっている屋根
合掌造りにするとどんなメリットが?
実は合掌造りの家って、皆さんが思っているよりも高機能な家なのですよ。
切妻屋根は柱を使わないため、2階に広い作業場を設けるための十分なスペースを作ることができます。
また、2階の部屋では室内に太陽光をふんだんに取り込んだり、風通しを良くしたりできます。このことは養蚕を行うために必要なことです。
しかし、切妻屋根は棟方向に働く力には弱いです。そこで、1階には切妻屋根の重みや風・地震による水平荷重に耐えられる丈夫な寄棟屋根を採用しています。
白川郷や五箇山地域など農作物が栽培できない地域では、養蚕は重要な産業の一つ。そのため、合掌造りの家屋は養蚕の作業場を確保するために最適化されているのです。
積雪による被害を防ぐ工夫
五箇山には、僕たちが体験したことのないほど厳しい冬の暮らしがあります。 そのため、コミュニティはこの困難に対処するために、丈夫で機能的な家を作る必要がありました。
前項でも触れましたが、屋根には柱を使わない切妻構造を採用しているため屋根の傾き調整が容易です。
日本の住宅では45度の屋根が一般的です。 しかし、合掌造りの家は積もった雪が滑り落ちやすくするために60度になっています。
また、合掌造りの家の隣には小さな池が設けられていることもあり、積もった雪を溶かすのに役立ちます。
複数の機能を備えた間取り図
合掌造りの家の間取りも機能的です。
「イデ」と呼ばれる部屋は、家族の儀式や仏事などに使用され、日光が十分に確保できる方角に配置されます。催事、仏事などにお客様を招待するなら、光の加減って結構重要ですよね。
「オエ」は、デエとニワ(台所と仕事場)の間にある、客室や仕事場として使われる大きな部屋です。
合掌造りの家は、仕事場にもなるしプライベートの空間にもなるわけですね。白川郷と五箇山の合掌造りの家には、本当に人間が厳しい自然を生きていくための知恵が詰め込まれているようです。
まとめ
今回は、1995年に世界遺産に登録された富山県の五箇山合掌造り集落について、同じく登録されている白川郷合掌造り集落との比較をしながら紹介させていただきました。
飛騨山脈の山あいにある五箇山合掌造り集落は、山の中に佇んでいることから、決して楽な自然環境にはありません。
しかし、厳しい自然環境の中で育まれた人の知恵や独特の文化が息づいている地域です。
都会での生活からちょっと抜け出して、週末にでも合掌造り集落に滞在してみるは新鮮な体験になります。
ぜひ富山観光をご検討中の方は、五箇山の合掌造り集落を訪れることも選択肢に入れていただければと思います。
それでは。記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。