観光コラム

全国通訳案内士が勧める「訪日外国人」に案内すべき富山の観光地9選

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YUICHI

こんにちは。全国通訳案内士のYUICHIです。通訳ガイド業務が忙しく、なかなか新規投稿ができないところ、久々に記事を書いてみました!

訪日外国人(特に欧米人)のあいだでは、高山金沢白川郷など、「日本らしさ」を感じられる観光地が大人気です。僕自身は高山や金沢に近いところに住んでいるせいか、しばしば外国人向けのツアーガイドをしてほしいという依頼を受けます。

残念ながら、富山県となると、高山や金沢と比べて富山県内にはなかなか足を運んでもらえないのが現状…。

そこで今回の記事では、通訳ガイドの視点で見た、ここなら外国人にも喜んでもらえるんじゃないかな?っていう富山県内の観光地9選を挙げてみました。

「訪日外国人に富山の魅力を知ってもらいたいけど、どこへ連れていったら満足してもらえるのか…」とか「外国人の友達から富山県を案内してほしいと言われたけど、どこを案内したらいいのかわからない…」って悩みを持っている方に必見の内容となっています。

ぜひ最後までお付き合いください。

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菅沼合掌造り集落(南砺市)

菅沼は、白川郷、相倉と共に、世界遺産に登録された合掌造り集落です。

白川郷は59棟もの合掌造り家屋が見られ、最も知名度が高く、商業施設や文化施設も多いので圧倒的な人気を誇ります。

それに対して、菅沼には9棟しか合掌造り家屋がありませんが、観光客の少なさと相まって、これぞ田舎!というほのぼの感もあり、とても素敵な雰囲気があります。

白川郷に比べて圧倒的に人もお店も少ないですが、その分田舎の魅力をしっかりと感じられるので、私のお客様たちにはとても満喫してもらえています。

井波町(南砺市)|ものづくりの精神が息づく木彫り職人の町

井波町は富山県西部の八乙女山の麓にあるこぢんまりとした門前町です。室町時代中期ごろに創建された井波別院・瑞泉寺を中心に町が形成されました。

井波町は木彫り細工の伝統工芸が盛んな町です。町内には約200人もの彫刻師が住んでおり、120軒の工房があります。

井波町の魅力は荘厳な瑞泉寺の伽藍を見学したり、彫刻師のお店を訪ねて秀逸な作品を堪能したりできるところにあります。また、木彫りのぐい呑みを作る体験施設もあるので、外国人のお客様にとっては日本の伝統工芸に直に触れる良い機会となります。

城端町(南砺市)|「越中の小京都」と称えられる織物の町

城端町は砺波平野の南端に位置する町で、城端別院・善徳寺というお寺を中心に栄えた門前町です。

善徳寺の伽藍も圧巻ですが、町には格子戸の町家や石畳の通りなどが観られ、しっとりとした雰囲気を感じられます。

そして、城端では毎年5月に城端曳山祭りが開催されます。山車が江戸端唄にのせて狭い町を巧みに練り歩いていく様子が観られるとても優美な曳山祭りです。曳山は年に一度しか観られませんが、城端曳山会館へ行けば通年優美な曳山の姿を拝むことができます。

また城端は絹織物の生産で栄えてきた町でもあります。養蚕の地である五箇山から絹糸を仕入れて、町の機織り工場で製品を製造・販売しています。

このように、城端は古い街並みのほか、お寺や曳山、伝統産業である絹織物製品などを観られることから、「越中の小京都」と称されています。

高岡市|大伴家持や前田利長など歴史上の人物が讃えた伝統文化が息づく

高岡市は、江戸時代の大名である加賀前田家2代目当主・前田利長公が築いた町として知られています。

富山県内では2番目に大きな町なので色々な見どころがあるのですが、外国人観光客にお勧めできそうな場所としては以下のようなところになります。

  • 瑞龍寺:仏殿、法堂、山門が国宝に指定された大型寺院
  • 勝興寺:本堂、大広間が国宝に指定された大型寺院
  • 高岡大仏:高岡鋳物職人の手によって、銅で造られた大仏
  • 金屋町:鋳物師が集まる町。千本格子と石畳の美しい景観は見応えあり
  • 山町筋:土蔵造りの家や御車山が収められている商人の町
  • 雨晴海岸:富山湾越しに立山連峰を拝める富山県屈指の景勝地

高岡市は範囲が広いので、すべてを見て回るとなると丸一日は必要です。しかし、国宝や重要文化財、重要伝統的建造物保存地区などに指定された文化財や街並みが多く残っている都市なので、外国人のお客様にとって満足度の高い観光地だと思います。

氷見市|海越しの山々を仰ぐ美食の町

氷見といえば、ひみ寒ぶりをはじめ新鮮な魚介類や氷見うどん、氷見カレー、氷見牛などを食べられる美食の町として知られていますね。

氷見は、和食または日本食を食べ慣れているお客様には超オススメです。

富山県民なのに、金沢や高山ばかりガイドしている僕ですが、意外にもガイドデビューは氷見市でした。米国カリフォルニア州から金沢に滞在していた美食家のご夫婦から「ご当地でしか味わえないお酒や食べ物を探している」というリクエストを受けたのがきっかけです。

氷見の観光スポットのひとつに「氷見番屋街」という商業施設があります。そこへ行けばとりあえず氷見の美味しいものをひと通り味わえるようになっています。

お客様は富山の魚の種類の豊富さに驚いていましたし、地酒の美味しさにもとても満足されていました。

また、氷見の伝統的な魅力として挙げられるのが「越中式定置網」です。「越中式定置網」は約400年にわたる先人の知恵が受け継がれており、魚を傷つけず、かつ鮮度を落とさない漁です。

八尾町(富山市)|和の優美を体現する「おわら風の盆」発祥の地

八尾といえば、有名なのが毎年9月1日〜3日に開催される「おわら風の盆」というお祭りです。

「おわら風の盆」の歴史は江戸時代中期にさかのぼり、起源については諸説あります。

加賀藩から「ここに町を作っても良いですよ」という許可がおりて、どれだけ唄ったり踊ったりしていてもお咎めを受けることがなくなったことで、町の人々が喜びのあまり三日三晩唄い踊り続けたというお話が有力だとか。

哀愁漂う胡弓の音色、日本の伝統的な形式に則った民謡の唄、頭から足のつま先まで優美な動きを見せる踊りなど、外国人を虜にする要素がたくさん詰まった踊りです。

年に一回、しかも3日間しか開催されないイベントのため、なかなかお客様をお連れすることはできませんが、おわら資料館や曳山展示館などでおわらの魅力を知っていただくのがいいと思います!

上市町|多くの天災を生き抜いてきた信仰の里

上市町には、大岩山日石寺や眼目山立山寺(さっかの寺)、穴の谷霊場など、種々の仏教系施設が多いことで知られています。

上市町は、数多くの良質な農作物に恵まれた土地柄である一方で、数々の天災にも見舞われてきた場所でもあります。そのような自然に対する畏怖の念から、人々のあいだに神仏に対する篤い信仰心が生まれたのでしょう。

数多くの寺院があり、滝修行や写経体験ができるので、一部の外国人に人気の目的地となっています。

日本のことが大好き、日本のことをもっとよく知りたい、そんなふうに思っている外国人のお客様をお連れするのにお勧めな町です。

立山町|立山山麓に佇む豊かな田園風景を歩く

立山町は立山連峰の麓に位置する自然豊かな町です。富山県の人気観光地として知られている「立山黒部アルペンルート」は立山町に位置しています。

立山町は広大な中山間地域のため、ハイキングやサイクリングにうってつけの目的地です。主要駅である富山地方鉄道「五百石駅」の近くにある観光案内所ではレンタサイクルを借りることもできます。

ハイキングやサイクリングのみならず、歴史スポットも充実しています。

立山博物館へ行けば、富山県固有の「立山信仰」を知ることができる展示物が充実していますし、県内最大規模の神社である雄山神社を訪れれば、雄大な自然に包まれた厳かな雰囲気を感じることができるでしょう。

滑川市|海沿いの宿場回廊でノスタルジーを感じながら散策

最後に富山市の隣に位置する滑川市をご紹介します。個人的には、外国人観光客の皆さんに最も足を運んでいただきたい場所です。

滑川市は藩政期に北陸街道の宿場町として栄えていました。街道沿いを歩けば、鍛冶屋や旅籠、お寺、商売屋などが観られ、至るところで歴史の息吹を感じられます。

まとめ

今回は全国通訳案内士の資格を持つ僕が、外国人観光客に訪れてもらいたい富山県内の観光地を紹介してみました。

日本の伝統的な魅力を感じられる金沢や高山などと比べて、そのようなイメージが薄い富山県は、外国人を案内する立場にあるとどこへお連れすればいいのか困ってしまいますよね。

しかし、富山県内にも歴史的な見どころは数多く存在します。それぞれが離れた場所に、こぢんまりと存在しているため、なかなか観光地としてのアピールが難しいかもしれません。

しかし、そんな細やかな魅力を外国人に伝えてあげられるのも通訳ガイドの腕の見せどころです。ぜひ皆さんのガイディングテクニックで、富山県の魅力をアピールしていただければと思います。

それでは、また!

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