観光コラム

ヤマタノオロチ伝説(神話)|妖怪の正体と富山の洪水の関係は?

YUICHI

今回の記事では、日本神話に登場する怪物「ヤマタノオロチ」と富山の意外な関係について書いていきます。

ヤマタノオロチといえば、日本最古の書物である古事記に登場するほか、RPGゲームなどでも敵キャラやボスキャラとしても登場するので、皆さんもよく知っている怪物ではないでしょうか。

そんなゲームやら神話やらに登場する怪物が富山と何の関係があるの?って皆さんは思うかもしれませんね。

詳しい話は後でするとして、古事記に登場する人物、怪物、出来事などには日本人が古来から持っている死生観や世界観などが色濃く反映されており、日本人が進むべき道や生きるための知恵を得ることができると言われています。

古事記は主に出雲神話や大和政権について記述されていますが、富山のような地方もわずかですが登場します。

富山について書かれたものには、古事記のほかに風土記、万葉集などがありますが、それらに記述された事柄、伝説、昔話などを知ったうえで、富山を歩くとひとり旅がさらに楽しいものになりますよ。

なので、旅行前や新幹線の中で、この記事に目を通していただければ嬉しいです!

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古事記に見られるヤマタノオロチの特徴

八俣の大蛇(ヤマタノオロチ)について、 古事記には以下のような記述があります。

「高志と申すところに八俣の大蛇という怪物がおりまして、これが毎年のようにまいっては、娘を一人ずつ餌食といたします。」

ーー 中略 ー-

「この大蛇は目は真っ赤な酸漿のようで、一つの体に、頭が八つ、尾が八つもございます。またその胴体には苔が蒸しており、さらには檜や杉なども生えております。その長さは八つの谷、八つの山峡を這いわたるほどで、その腹を見れば、不断に血が流れだして血膿のようにただれている、まったく恐ろしい怪物でございます。」

出典:福永武彦 訳 「現代語訳 古事記」

ヤマタノオロチは、恐ろしい怪物として描写されていますね。しかし、そんな怪物と美しい富山の自然風景と一体どんな関係があるのか…ちょっと興味ありませんか?

きっと皆さんは、「高志の国ってどこ?日本にそんな地名あったっけ?」と思いますよね。

ちなみに高志の国というのは越の国とも表記します。なので、「越といえば…昔は越後とか越前とかって地名があったかな〜」って思えれば、何となくイメージがつかめるのではないでしょうか。

今から約1400年前。日本には天皇を中心とした大和政権という政体がありました。

その当時、現在の北陸地方は、都の存在した畿内(今の近畿地方)に近い方から順番に「越前」、「越中」、「越後」と呼ばれていました。

高志の国が厳密に越中つまり富山県指すのかどうかははっきりとした記述がありませんが、少なくともこれらの地名を引き継ぐ、現在の福井、石川、富山、新潟のどこかからやってきたことは間違いなさそうです。

度重なる自然災害の末、日本人が抱いた自然に対する感情

日本は南北に細長い国土を持ち、四方を海に囲まれた国です。

そして世界で有数の災害大国。はるか遠い昔から地震、津波、豪雪、豪雨、台風など数えれば枚挙に暇がありません。

そのような日本固有の事情から自然災害の多い土地に住む日本人は古来から自然に対する畏怖の念を感じ、そこから超自然的な存在が連想されました。

穏やかな海や柔らかい陽の光などからは海の神、陽の神のように神格化されました。

一方で川が氾濫すれば、蛇のような怪物を思い浮かべたり、雷が鳴れば、暴れん坊の神様が怒っているなどと言ってみたり、見えなかったり不可解な自然の現象に出くわした時は鬼が出た!と叫んでいたりしたわけですよね。

それらのキャラクターが神話や民謡として古事記に反映されたのかもしれませんね。そしてドラクエ、女神転生、パズドラなどのRPGゲームにも登場しましました。

自然が豊かな富山県は洪水などの災害も多かった。

ここで富山県の自然環境を思い浮かべてみましょう。

富山県は立山連峰や飛騨山脈など3000メートル級の山々に囲まれており、富山湾までの距離も近いため、急流河川が多いです。

現代は土木技術が発達しているため、堤防やダムを作って川の氾濫を防ぐことができますが、昔はどうだったでしょうか…?

何度も雷や水害に苦しめられてきたはずです。

きっと、気まぐれに発生する自然現象に襲われて、何度も生死を脅かされてきたのでしょう。

そんな生活を送る中で、自然を神様に見立てて、お祈りやお祓いなどをする風習が生まれたのだろうと推測できます。

そしてヤマタノオロチの正体とは

さて、古事記におけるヤマタノオロチの描写を富山の自然環境に照らし合わせてみましょう。

富山県東部から富山湾へ流れ込む8つの川はヤマタノオロチの8つの恐ろしい頭を想起させます。

8つの川はいずれも急流。ヤマタノオロチの獰猛な首の動きが想像できますね。

立山連峰、毛勝三山、僧ヶ岳など雄大な山はヤマタノオロチの体を思い浮かべます。

ヒノキやスギの木々も当然のように生い茂っていますから、古事記におけるヤマタノオロチの体の部分の描写とも整合性が取れます。

富山湾に浮かんで見える太陽は、目が真っ赤な酸漿(ほおずき)に見立てることができます。

富山湾に沈む西日は季節や気象条件によってはとても大きく見えることがあり、力強さや畏敬の念のようなものを感じ、自分という人間が偉大な大宇宙、大自然の前に無力で小さな存在であることを認識させられます。

まさに獰猛なヤマタノオロチの目として表現されるにふさわしい情景ではないでしょうか。

富山県東部で暴れ川と言われていた河川に対する恐怖心から大蛇のようなものを畏れたり信仰対象にしていたことも想像に難くありませんね。

このように、日本の自然環境を重ね合わせながら、古事記を読み解くと興味深いものが見えてきます。

皆さんも、ぜひ古事記の中に富山の情景を探してみてくださいね。富山ひとり旅がもっと楽しくなることは間違いありませんよ。

それでは、最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございました!

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