富山県西部

勝興寺(富山)の見どころは?|国宝に選ばれた理由や七不思議を紐解く

YUICHI

2022年12月12日、富山県高岡市の寺院である勝興寺(読み方:しょうこうじ)の本堂大広間式台が国宝に指定されました。

勝興寺を訪れた人からは「大変すばらしいお寺。なぜもっと早く国宝に指定されなかったのか」という声が聞かれます。

今回の記事では、知名度が飛躍的に高まった勝興寺への行き方や見どころについて紹介していきます。

勝興寺への行き方

勝興寺へは、あいの風とやま鉄道「高岡駅」からJR氷見線の電車に乗って「伏木駅」で下車。そこから徒歩7分で勝興寺に到着します。

他の地域から勝興寺へ行くときは以下のようになります。

所要時間行程
富山から40~50分富山駅-(あいの風とやま鉄道)→ 高岡駅-(JR氷見線)→ 伏木駅-(徒歩)→勝興寺
金沢から50~60分金沢駅-(IRいしかわ鉄道)→ 高岡駅-(JR氷見線)→ 伏木駅-(徒歩)→勝興寺
東京から2時間30分東京駅-(北陸新幹線)→高岡駅-(JR氷見線)→伏木駅-(徒歩)→勝興寺

勝興寺は意外な人が住職を?

江戸時代の話ですが、実は加賀前田家のお殿様が住職を務めていた時期がありました。

お殿様の名前は10代藩主・前田治脩(まえだ はるなが)

前田治脩は5代藩主前田吉徳の10男であり、もともと藩主の座など到底望める人物ではありませんでした。

父親が5代目なのに息子が10代目…。そのように聞くとすぐに気付くと思いますが、6代から9代までの藩主は皆治脩の兄たちなのですね。

色々な理由でお兄さんたちを早く亡くしてしまったようです。加賀百万石の藩主が短期間に5人も交代したのだから、藩財政は大変な痛手を被ったことは容易に想像ができますね。

そんなわけで、藩主になれるなんて思いもしなかった治脩は出家して勝興寺の住職を務めていたのでした。

ところが兄たちが早世したことで、治脩は再び俗世に戻り、10代藩主を務めることになったのです。

大変珍しい経歴のお殿さまなのですね。

本堂の大きさが江戸時代最大規模

勝興寺の本堂は全国9番目の規模を誇ります。

前田治脩は、還俗して藩主になったとき、次の住職に建て替えを命じました。

そして、上方(大坂・京都)からやってきた浄土真宗門徒を手厚く受け入れるために、大きな資金を投入して本堂を整備しました。

本堂の建築には本願寺の宮大工が関わっており、見応えのある装飾彫刻が施されています。

大広間・式台も国宝指定

先に述べたように、加賀藩と勝興寺は大変高いホスピタリティ精神を持っていたようで、浄土真宗門徒を大変手厚く受け入れていたようです。

その厚遇ぶりは拡張整備の規模の大きさに現れているようですね。

大広間の畳は2列から3列に広げられたり、格式の高い浄土真宗スタイルの対面所(賓客向けの応接間)を設けたりしたところに現れています。

勝興寺の七不思議とは?

実は勝興寺には七不思議と呼ばれる言い伝えが残っています。

実ならずの銀杏

お寺の前庭にある樹齢300年ほどの銀杏の木は、ある時からまったく実を付けなくなったと言われています。

昔、木から落ちてくる銀杏の取り合いで、子供たちがけんかしている様子を見ていた住職が実をつけなくなるお経を唱えたことが原因だそうです。

しかし、銀杏には雄の木と雌の木があるらしく、そもそも雄の木は実ができないそうですが…。

天から降ってきた石

江戸時代後期、国分の浜(雨晴海岸付近)に天から石が落ちてきたと言われています。

実際には安山岩という火山岩の一種らしく、隕石ではないので、天から降ってきたというのは少し大げさかもしれませんが、そのように信じられていたようです。

水の枯れない池

昔、勝興寺で火事があったときに、竜がこの池の水を口に含んで火を消したという伝説が残っていたようです。そのため、どんな干ばつにも負けない(干上がらない)池と言われています。

そもそも、勝興寺の建てられた場所は、湧き水が湧くようなので干上がることはなさそうです。

屋根を支える猿

本堂の4隅上部には、屋根を支えている猿のような生き物の彫刻が見られます。

住職の方の説明によると、正体は天邪鬼(あまのじゃく)らしいですね。

へそ曲がりな天邪鬼が重力に逆らってお寺の屋根を支えているのだそう。

面白い発想ですよね!

魔よけの柱

本堂は基本的に欅(けやき)の木で造られているようですが、一か所だけ桜の木を逆さに取り付けた場所があります。

耐用年数の短い桜を逆さ柱(さかさばしら)として立てることにより寺院の不完全さを演出し、魔除けの効果を得ていると言われています。

雲龍の硯(すずり)

もともと宝物子で厳重に保管されていたものですが、今では本堂で見られるようになりました。

なんでも蓮如上人の愛用品らしいです。門徒さんにとっては、大リーグ大谷選手のバットのように、憧れのアイテムなのかもしれませんね。

そんなレアアイテムの硯からは、自然に水が湧き出るという言い伝えが残っています。

それは本当に言い伝えでしかなさそうな感じですね…(汗)

三葉の松

日本では珍しく、3枚葉っぱがついている松の木です。

この松の木から本当に3枚葉を見つけられた人は幸せになれるという言い伝えがあります。

まとめ

今回は富山県で2番目に国宝指定された勝興寺をご紹介しました。

多少いまさら感がなくもないですが、勝興寺は2022年12月12日に国宝指定を受けました。

勝興寺は、畿内(現・近畿地方)からの多くの門徒を受け入れるために、前田藩や本願寺は大きな資金を使って蘇らせた立派な寺院です。

七不思議という不思議なエピソードも残っており、見学しているとあっというまに時間が過ぎ去っていくはずです。ちなみに、寺社仏閣に興味のなかったうちの家内が絶賛していたくらいですので、相当見応えのあるお寺のはずですよ。

ぜひ富山旅行の思い出に勝興寺訪問を加えてみてくださいね。

それでは。

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著者プロフィール
YUICHI
YUICHI
全国通訳案内士
富山県富山市生まれ。観光庁認定英語通訳案内士。
愛知県の航空機関連メーカーで務めたあと、全国通訳案内士国家資格を取得。通訳ガイドとして、訪日外国人の観光ガイドを主に富山、石川、岐阜の観光名所・史跡を案内する。近年はHTML/CSSやPHP、Photoshopなどを使ってWEB制作にも携わっている。趣味はウォーキング、温泉、読書、料理など。

「せっかく富山に来たのなら、たくさん楽しんでいってくださいね!」
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