
富山県が抱く北アルプスには冬に大量の雪が積もります。やがてそれが清らかな雪解け水となり、傾斜地を経て平野部に届けられます。
こんにちは。全国通訳案内士のユウナギです。
自然環境が豊かな富山県ですが、水の美味しさも世界トップクラス。今回の記事では、なぜ富山の水が美味しいのか、その理由をお伝えします。
この記事を最後まで読むことで、なぜ富山の水や食べ物がおいしいのか理解できます。
そして次に富山を訪れたときは、もっと楽しく、おいしく富山料理を食べられますよ。
富山の水はどこから流れてくる?
北アルプスの山々の降水量(降雪量含む)は、なんと年間 6,000ミリメートル に及びます。
北アルプスに積もる大量の雪は夏になっても残っており、次第に雪解け水となって下界に降りてきます。
雪解け水は、夏ですら水温が15度を下回っており不純物があまり含まれていません。
雪解け水のみならず、通年降っている雨も、傾斜地の森林や土によって、少しずつ濾過・浄化されながら平野部に届けられます。
美味しい水の秘密は急流河川にあり
雪解け水の源流は立山連峰など3000メートルクラスの峰々にあります。受け皿となる富山湾までは約50キロメートル。
富山県はそのように独特な地形を有しており、世界でも有数の急流河川がいくつも流れている場所です。ゆっくりと海に注ぎ込む外国の大河川と違い、富山の水は水源から河口まで一気に、汚染されずに流れていきます。
その点も良質な水を安定して供給するための重要な要素といえるでしょう。
日本の名水百選、富山県内に4か所あり!
以下は国土交通省が「日本の名水百選」として選んだ県内4か所の名水スポットです。
- 黒部川扇状地湧水群
富山県黒部市、入善町の平野部は、黒部川の急流によって削られた土砂が堆積することによって形成された扇状地です。ここにも北アルプスの雪解け水が流れ込み、安定して豊富な水が湧水となって平野部に供給されます。黒部・入善で湧き出る水はミネラル分が低く飲みやすい軟水タイプ。クセがないので日本人好みの水と言えそうです。 - 穴の谷(あなんたん)の霊水
穴の谷(あなんたん)の霊水は、富山県上市町の山間部にある穴の谷霊場で湧き出る水です。この地の湧水は、修行のためこの地を訪れた多くのお坊さんによって全国に知れ渡ることになりました。お坊さん方から霊水と言われるだけあって、万病に効くありがたい水として全国的に慕われています。水の硬度はなんと 5.1mg/L。名水と言われている各地の水の中でも抜群のまろやかさを誇ります。
- 立山玉殿の湧水
立山玉殿の湧水は、世界でトップクラスの寒冷地帯である室堂平で採水されます。また、日本一標高が高いところで採れる水であり、立山黒部アルペンルートの乗り物を利用しなければアクセスできない場所にあります。また、立山黒部アルペンルートは4月~11月の間でのみ運行するので、それ以外の期間、つまり冬期はそもそもアクセスできず、水も凍結しています。水の硬度は 17mg/L と硬め。水温は2度程度なので、登山中に飲むととても冷たくて美味しいですよ。 - 瓜裂(うりわり)の清水
瓜裂の清水は、他の3か所と異なり、富山県西部から選定された名水です。庄川扇状地の伏流水や砺波の山々に降り積もった雪が地下水となって湧き出たものです。600年前のお坊さんが湧き水を発見し、その水があまりにも冷たくて瓜が割れてしまったことからそのように命名されたようです。硬度は 38mg/L と少し硬めの軟水です。こちらも穴の谷の霊水と同様に、お坊さんによって広められた伝説があって慕われている水ですね。
富山の水で育つもの、作られるもの
富山の水は概ね軟水なので、とてもまろやかな味わいを持っています。素材の味がとても引き立つので、お茶やコーヒーはもちろん、出汁や味噌汁に使っても素材の本来の味わいが引き立ちます。
また、人間の体に良いものは動植物にとっても当然良いもの。豊富できれいな富山の水を吸収して育った山の幸は、それ自体が格別の味わいを持っています。
日本酒もまた富山のきれいな水の恩恵を受けています。日本酒の原料は、米、米麹(デンプンを糖に変換するカビ菌)、そして水です。
先述のように、富山の水はほとんどが軟水。そこから造られるお酒はまろやかで飲みやすく、ほのかな香りを持っており、上品な味わいのものが多いです。
富山の水が美味しい理由 まとめ
今回の記事はいかがでしたか?
美味しい富山の水は、雪深い環境だけでなく、山々の頂上から平野部に及ぶ高低差3000メートルの急な斜面、堆積した土砂で形成された扇状地など、数々の自然条件が重なり合った奇跡の産物といえるのではないでしょうか。
富山を訪れられる皆さんには、ぜひそういった素晴らしい自然のメカニズムを知ったうえで観光や食事を楽しんでいただきたいと思います。富山旅行が一層充実したものになりますよ!
それでは、最後まで記事を読んでいただいてありがとうございました。
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