合掌造り集落&富山(2024/5/29)|米国の旅ライター様をご案内

合掌造り集落&富山(2024/5/29)|米国の旅ライター様をご案内
YUICHI

今回はマッチングサービス経由でガイドサービスの申し込みをいただいた米国からのゲストです。世界遺産に登録されている「白川郷五箇山合掌造り集落」と「富山市ガラス美術館」へお連れするツアーを実施しました。

ゲストは米国からお越しのトラベルライター兼フォトグラファーの女性と彼女のお連れ様の2名。ダイヤモンド・プリンセス号というクルーズ船で伏木港(富山県高岡市)に寄港されました。

あいにくお連れ様は体調不良で参加されませんでしたが、ゲストはガラス工芸の巨匠デイル・チフーリ氏の大ファンということで、同氏の常設展が観られる「富山市ガラス美術館」の訪問をとても楽しみにされていました。

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ゲストは「ダイヤモンド・プリンセス号」で伏木港に寄港

僕のゲストはダイヤモンドプリンセス号で伏木港(富山県高岡市)に入港されました。ダイヤモンドプリンセス号は5月25日に横浜港を出港し、国内6か所と釜山に立ち寄ります。伏木港はそのうちの1か所です。ダイヤモンドプリンセス号が伏木港へ寄港したのは実に7年ぶりとのこと。

当日は富山県職員や地元テレビ局アナウンサー、ツアー会社などが多く押し寄せて大変賑わっていました。もちろん他の通訳案内士も自分のお客様をピックアップするために待機されていました。多くの乗客が伏木港に降り立つ中、自分のゲストを見つけるのは結構大変だったと思います。

僕もゲストを見つけるのに手間取りましたが、What’s Appで連絡をとって、なんとかミートすることができました。

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訪日観光客のほとんどはWhat’s AppというSNSアプリを使っているので、あらかじめ、自分のスマホにインストールしておくと便利です。

自家用車でゲストをご案内!?

2024年3月1日、「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて」という通達が出され、通訳案内士による自家用車での通訳案内行為の規制が撤廃されました。

つまり、「運送に特定した反対給付がない場合」に限り、自家用車を使って通訳ガイドをすることが可能になりました。

通訳案内士や訪日される観光客が長年待ち望んでいたことがついに実現されたことになります。

おかげさまで今回伏木港に寄港されたゲストを快適にツアーへお連れすることができました。

富山県のように鉄道駅から離れた場所に観光地のある地方にとっては大変ありがたいことですね。

今回の周遊ルート:荻町集落(白川郷)、菅沼集落(五箇山)、富山市

今回のゲストはトラベルライター兼フォトグラファー。実は日本を訪れるのは今回が4回目らしく、白川郷や富山県には1回目で訪れていただいていたようです。

ゲストは合掌造りの家屋がとてもお好きなようで、もう一度白川郷・五箇山を訪れて素敵な写真を撮りたいというご要望をお持ちでした。また、米国ガラス工芸の巨匠デイル・チフーリ氏の大ファンということで、同氏の作品が展示されている富山市ガラス美術館も大変楽しみにされていました。

僕にしてみると、富山市のリクエストを頂いたのは今回が初めてです。通訳案内士4年目にようやく自分の地元が選ばれました(笑)

荻町(白川郷)|岐阜県北端に位置する最大規模の合掌造り集落

伏木港から世界遺産合掌集落のある白川郷までは車で1時間10分ほどの行程です。

せせらぎ駐車場に車を停め、庄川にかかる橋を渡って合掌造り集落へ入ります。駐車場から集落までは2〜3分程度の距離。

白川郷の主な見どころには、「城山展望台」というビューポイントや「和田家」という合掌造り家屋があります。しかし、今回は全旅程で7時間というタイトなスケジュールだったので、ゲストにはどちらか一つを選んでもらうことにしました。

ゲストはお気に入りの合掌集落を写真に収めることができてとても満足されていました。本当は屋根の葺き替え作業をしているところも観たかったそうですね。5月下旬には観れないのでそれだけが心残りのご様子でした。

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世界には傾斜の急な屋根の家を観られる国はいくつもありますが、茅葺屋根は白川郷・五箇山でしか観られないのでとても感動されるゲストが多いです。

菅沼(五箇山)|落ち着いた雰囲気で散策できる小さな集落

白川郷を後にして次は富山県の五箇山へ。せせらぎ駐車場から菅沼合掌集落まで下道で20分ほどの距離にあります。とても近いので高速に乗り直す必要はありません。

荻町に59棟の合掌造り家屋が残っているのに対して、菅沼には9棟しかありません。集落の広さも端から端まで歩いて7〜8分程度。とても小さな集落ですが、今回のゲストはとりわけ菅沼がお気に入りで、家屋や田んぼ、木々を眺めながら”So cute!!”を連発されていました。

ユネスコ世界遺産に登録された合掌造り集落としては、白川郷が圧倒的な知名度を誇りますし、お店やお食事処も多いので観光客数も比べ物にはなりません。

今回のゲスト同様に僕も菅沼合掌造り集落が最も合掌造り集落らしい場所だと感じています。

もちろん白川郷には白川郷の魅力が沢山あるのですが、菅沼合掌集落はこぢんまりとしており、実際に人々が素朴な生活を送っている様子を感じられます。これこそ日本の原風景といえる姿ではないでしょうか。

個人的な意見で恐縮ですが、菅沼には、過度に観光アピールをせずに、今の状態をひっそりと保存していただけたらいいなと思っています。

白川郷五箇山合掌造り集落については以下の記事もお勧めです。

富山市ガラス美術館|富山市ガラス工芸文化の集大成

菅沼合掌造り集落を後にして、再び高速道路(東海北陸道・北陸道)を使って富山市へ入ります。高速道路であれば1時間程度で富山市まちなかエリアへアクセスできます。

米国ガラス工芸の巨匠デイル・チフーリの大ファンであるゲストは、富山市ガラス美術館館内のチフーリ氏の展示品を観て以下のように仰いました。

“He must have been inspired by Japanese culture(彼はきっと日本文化にインスピレーションを感じたのでしょうね)”

青く透明なガラスの棒は木の上に並べられ日本海の波の様子を、たくさんのガラス玉は日本風の小舟の上に置かれており、氷見の定置網を浮かせるときに使われるガラス球を連想させます。

いずれの展示品からも典型的なチフーリ氏らしいスタイルがうかがえるものの、富山市ガラス美術館で観られる作品はやはり特別なものだったようです。

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ゲストから聞ける感想や説明は大変貴重。外国人ならではの視点や考え方がわかりますし、次のガイドのトークも充実します。

富山市ガラス美術館については以下の記事もお勧めです。

移動中に車内でお話ししたこと

今回は車で移動したので、ゲストとの会話が盛り上がりました。もちろん安全運転を心がけなければならないのですが、富山へ向かう道中は日本人の宗教観について盛り上がりました。

僕たち日本人は、仏教や神道の世界観や価値観が日常生活にしっかり溶け込んでいるため、あまり意識することはありませんが、海外では何かしらの宗教や宗派に属している人が少なくなく、宗教に基づいた信条を持っている人も珍しくありません。

宗教については、少し繊細な話題になってしまうのですが、訪日客とは度々話題になりますので、少しずつ勉強しておくことをお勧めします。

今回のゲストはキリスト教カトリックの両親に育てられたそうで、幼い頃は週末にミサに行くのが決まり事でした。その後長い時を経て、次第にミサへ行く機会が少なくなり、キリスト教的な考え方が希薄になっていったようです。

そんなゲストは以下のように話されました。

“I found it was Shinto which best fits my idea and value.(私の考えや価値観に一番合っているのは神道だと思いました)”

明確な教義や権威を持たない神道は、在るがままの自然を受け入れており、最も理にかなっているのではないかと仰っていました。

なかなか深いお話しでしたが、仕事中ながら僕もとても興味深く聞いていました。海外の方と宗教の話をすると、少しセンチメンタルな感じにもなる場合もあるかもしれません。しかし、そんなときこそ、存るがままの相手のお話を受け入れてきくという、神道の精神を実践したいものですね。

まとめ

今回は米国からクルーズ船で富山県を訪れたゲストを白川郷、五箇山、そして富山市内へお連れしました。

通訳案内士や訪日客が待ち焦がれていた自家用車を使ったガイドサービスがようやく実現できるようになりました。これにより、公共交通路線網から少し離れたところへも訪日ゲストをお連れすることができるので大変助かりますね。

白川郷や五箇山では、古き良き日本の姿を観ていただき、富山市ガラス美術館では日本文化からインスピレーションを受けた米国のガラス工芸の巨匠の展示品をご堪能いただきました。ゲストの反応を見ていると、改めて日本文化の素晴らしさに気付かされます。

また、今回は車を使ったツアーということもあって、移動中は日本人の習慣や価値観について話が盛り上がりました。

今回のゲストのように、今後は日本の観光地や美味しい食べ物のみならず、日本人の価値観や習慣などに興味を示される訪日観光客が数多く日本を訪れることが予想されます。

そんなとき、ホストを務める僕たちは、「そんなの当たり前のことじゃない?」と、日本の伝統文化を習慣や常識で片付けることなく、他の国と比較しながら少しずつ理解を深めていくことが重要です。

そうすれば、いつか訪日観光客に自信を持って日本を紹介できるようになると思います。

それでは。最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。

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ABOUT ME
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全国通訳案内士
富山県富山市出身。観光庁認定英語通訳案内士。愛知県の航空機関連メーカーで務めたあと、全国通訳案内士国家資格を取得。通訳ガイドとして、訪日外国人の観光ガイドを主に富山、石川、岐阜の観光名所・史跡を案内する。近年はHTML/CSSやPHP、Photoshopなどを使ってWEB制作にも携わっている。趣味はウォーキング、温泉、読書、料理など。

「通訳案内士になって、訪日観光客の皆様に日本の素晴らしさを体験していただきましょう!」
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