米国からのご夫妻をご案内(2024/5/31)|菅沼集落を絶賛!
こんにちは。全国通訳案内士のYUICHIです。
今回はインターネットのマッチングサービスからご依頼のあった米国のお客様をお連れしたときの活動実績です。
お客様は米国フロリダ州からお越しのご夫妻です。お二人で開業医として動物クリニックを経営されています。
目的地は高山、白川郷、五箇山、金沢の定番コース。今回は珍しく五箇山地域の集落が訪問地になったのですが、菅沼集落でお客様からお聞きした一言が印象的だったので記事内で紹介します。
2泊3日の旅程で、最近のガイド業務の中では長めでした。それだけに少しトラブルもあったので共有します。そこで、今回の記事は発生したトラブルとそれをどのように解決したかを中心に書かせていただきました。
今後通訳案内業務をされるにあたり、皆さまのご参考になれば幸いです。
お客様のご旅程
以下が今回のお客様のご旅程です。
東京 → 箱根 → 高山・白川郷・金沢 → 京都・大阪 →東京
訪日観光の定番コースですね。
東京で明治神宮、浅草寺などを観て、箱根で温泉に入り、高山金沢で古い町を歩き、京都・大阪でお寺巡りをするというご旅程でした。
以下は僕がガイドを担当した訪問地です。高山の翌日は白川郷・五箇山・金沢だったので「ホテルウイング飛騨高山」に宿泊することにしました。
白川郷荻町集落
和田家を見学され、合掌造り家屋の構造の機能性に驚いておられました。
五箇山菅沼集落
菅沼は世界遺産に指定されている合掌造り家屋がわずか9棟の小さな集落。しかし、奥様は思わず”Adorable”と口にされたほど感動されていたご様子でした。
Adorable とは
日本語に訳すと、「崇敬すべき、ほれぼれする」という意味があります。
ちょっと分かりにくいので、英語で言葉の意味を定義すると以下のようになります。
Someone or something that is “adorable” is so attractive that they will fill you with feelings to cherish them.(”adorable”とは、大切にしたいという気持ちで満たされるほど対象物がとても魅力的であること)
外国のお客様は日本を観光中に色々なものやことを絶賛されますが、たいてい、beautiful、amazing、lovelyのような言葉を発することが多いです。Adorableとおっしゃることはあまり無く、それだけに菅沼集落の価値の高さを再認識させられました。
五箇山相倉集落
和紙作りを体験できるショップで、越中和紙が作られる工程をご覧になりました。
城端
ご主人より度数の高い地ビールを飲みたいというリクエストを受けて訪問。度数のみならず、きめの細かい味わいに大満足されていました。
金沢
兼六園、ひがし茶屋街のほか、ちょうど百万石祭りが開催されていたので日本の祭りの雰囲気を楽しんでいただきました。またお客様のリクエストで予約していた金箔貼り体験にも挑戦していただきました。
百万石祭り
お客様は百万石祭りの屋台でビールと焼きそばを召し上がりました。焼きそばの味付けを気にされていましたが、味付けはウスターソースなので醤油よりも食べやすかったようです。
金箔屋さくだ
お客様は二人とも箸への金箔貼りに挑戦されました。金箔の厚さは1/10000ミリほど。暑い時期でしたが、集中して作業に取り組んでいらっしゃいました。
対応に困った2つのトラブル
今回は2泊3日ということで盛り沢山な内容。時には思い通りに旅が進まないことやお客様との間の齟齬などにより、食事の問題などもあって少し大変でしたが、トラブルこそは共有する価値があると考えていますので、自分のとった解決策とともに以下に書かせていただきました。
小田原駅で新幹線のチケットがとれない?
お客様は箱根湯本駅の近くの旅館に宿泊されていたようです。人生で初めての温泉にとてもご満喫されたようでした。
しかし、箱根には新幹線駅がありません。そこをしっかり認識されていなかったお客様は、最速タイプの「のぞみ」の座席を確保できませんでした。
高山に13時(僕とお客様のミート時間)に到着するどころか、すべての接続の予定が崩れてしまい、結局高山到着は17時を過ぎてしまいました。
解決策|2日目は目的地の滞在時間を短縮し、高山を含めた
このトラブルについて僕に落ち度はありませんでしたが、何もしていないのに半日分の通訳案内料をいただくのは気が引けたので、6/1のツアーは1時間早めて、やや駆け足で宮川朝市と高山陣屋をご案内してきました。
幸いにもお客様は宮川朝市での買い物にあまり興味を持たれませんでした。宮川朝市はさっと通り抜け、その勢いで櫻山八幡宮へ参拝。さんまち通り、高山陣屋も立ち寄ることができました。
こうして高山の主要観光地はすべてクリア。
しかも、その後は予定通りすべての合掌造り集落にも立ち寄ることができ、お客様は超満足のご様子でした。
金沢2日目のディナーは奥様が食べられないものばかり…
旅行前のメールのやりとりで、お客様より金沢2泊目(6/2)のディナーを予約してほしいと言われていました。高級感のあるお店を希望されていたので、僕は「かなざわ玉泉邸」というお店を予約させていただきました。
そして僕は次のようにお伝えしました。
“Please search online the name ”Kanazawa Gokusen-tei” for the details. I need to know whether you and Christina like it. If you don’t, I will cancel it immediately.(「かなざわ玉泉邸」というお店をネットで調べていただき食べられるかどうか教えてほしいです。食べられないならすぐにキャンセルしますので)”
そして、”Please book it” という回答を頂きました。
僕の方は料理の内容にご納得いただいた、という思い込みがあり、お客様も「多分大丈夫だろう」と思っていらっしゃったようです。
ご主人はなんでも食べる方だったのですが、奥様は生魚が食べられない方でした。そして、金沢観光当日に「かなざわ玉泉邸」は生魚しか出さないことが判明…。
しかも、お客様は、僕が「かなざわ玉泉邸」を予約していたことを忘れており、ANAクラウンプラザホテル最上階の「鉄板焼 加賀」を予約されていたのです!そして「かなざわ玉泉邸」は高級料亭のためキャンセル不可。キャンセルするとコース料金が全額かかってしまいます。
これは痛かったですね!
私は「かなざわ玉泉邸」の料理についてもっと念入りに調べておくべきでしたし、お客様には予約していたことを覚えておいていただきたかった。
解決策|自分がレストランの予約を引受けることを提案するも…
金沢最後の夜に、お客様が好きな料理を食べられないのは申し訳ない…と思ったので、僕が「かなざわ玉泉邸」の予約をもらうことを提案しました。2名分だけどうちの嫁さんを富山から呼ぶからいいですよ、と言いました。が…
”This is our fault. You shouldn’t do such kind of thing(私たちが悪かったのよ。あなたはそんなことをすべきじゃない)”
と、奥様は頑なに固辞されました。
結局お客様は「鉄板焼 加賀」をキャンセルされ、「かなざわ玉泉邸」を選ばれました。
私はお客様に少しでも満足していただければと考えて、「かなざわ玉泉邸」に電話をして、「奥様のためにお料理は極力調理してお出しいただくようお願いいたします」とお願いしました。
「かなざわ玉泉邸」もそれについては最善を尽くすと仰ってくれたので、とりあえずは一安心といったところです。
まとめ
今回は2024年6月に北陸・飛騨地方を訪れた米国のお客様をご案内したときのことを記録しました。
初日のご到着が遅れたぶん、2日目は訪問地を相当詰め込みました。なんとか菅沼合掌造りも訪れることができたのですが、その時にお客様が口にされた”adorable”という言葉が大変印象に残りました。
旅程を調整した結果、なんとかお客様のご希望を満足させるもトラブルも少々…。
通訳案内の案件は、エージェントから頂くほかにマッチングサービスを利用する方法もあります。
マッチングサービスからのご依頼は全旅程が共有されるエージェントからの案件と異なり、お客様に聞かないかぎり前後のご予定が把握できません。
そのため、なるべくお客様から全旅程をヒアリングして、スムーズに自分の担当地域に来れるかどうかをチェック・アドバイスしてあげることをお勧めします。
また、海外のお客様は日本人よりもアレルギーや食事制限が多いことも留意すべき事項です。
自分の担当地域で予約した体験施設やレストランが、本当にお客様のご要望に当てはまっているかどうか、最終確認はとても大事な作業になります。
またツアー前には、お客様に最終確認していただくことも必要です。
これから通訳案内士としてお仕事をされる方も、100%お客様に満足していただけるツアーを提供できるように、失敗も含めて通訳案内の業務経験を積み重ねていきましょう。
それでは、最後まで記事をご覧くださりありがとうございました!