高山陣屋&宮川朝市ツアー 2024年3月〜4月|米国のお客様をご案内
早いもので新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されて1年が経ちました。
昨年以降、空港での水際対策が大幅に緩和されたため、日本を訪れる外国人観光客数が劇的に回復しましたね。
僕も全国通訳案内士として外国人観光客を北陸の観光地へ案内する仕事に携わっており、昨年後半よりとても忙しい日々を過ごしてきました。
昨年は金沢、白川郷、五箇山などをご案内する機会が多かったのですが、今年の桜のシーズンは高山観光の依頼が圧倒的に多かったです。
古き良き日本の魅力を体験できる高山は、京都や鎌倉と並んで外国人、特に欧米人のお客様に大変人気の観光地となっています。
それでは、欧米人のお客様は高山のどのような観光スポットを楽しまれたのでしょうか。
ツアー繁忙期を通して得た所感をお話ししたいと思いますので、これから外国人のお客様やお知り合いを高山へお連れするときの参考にしていただければ幸いです!
宮川朝市|地元農家さんと会話を楽しみながらお買い物
宮川朝市は高山市内を南北に流れる宮川沿いに展開される朝市です。年中無休で毎日午前8時から12時の間に開催されています。
江戸時代、高山は越中街道や尾張街道などを結ぶ交通の要所だったため、様々な物資が持ち込まれ、商品取引が活発に行われていました。
初期には養蚕や花などが取引されていたようですが、次第に周辺の農家さんが自家栽培の野菜も売られるようになりました。
今は漬物や味噌を売っているお店が多いですね。漬物や味噌は、代々引き継がれてきた伝統の味を守っているお店もあれば、新しい味に取り組んでいる先進的なお店もあります。
色々なお店の味を試してみるのも面白いですよ。ただし、欧米人、特にアメリカ人のお客様は「日本のピクルス(漬物)は塩っぱいのでちょっと。。。」と敬遠される方が多かったです。
漬物は日本の食卓ではお馴染みの一品なのですが、外国人の方にあまり買いたいという方がいないのが少し残念ですね。
漬物はあまりお勧めできませんが、「漬物は、高山の人々が厳しい冬を生き抜くための大切な保存食です」と教えてあげると「なるほどね〜」と興味を持って聞いていただけます。
あまり観光の話ばかりしてると、当サイトが英語を勉強するためのサイトであることを忘れてしまいますよね。なので、ここで外国人のお客様との会話に役に立つ単語を覚えておきましょう。
- 朝市:morning market
- 漬物:pickles
- 味噌:bean paste
- 農家:farmer
- 一口どうぞ:please take a bite.
高山祭屋台会館|絢爛豪華な小京都の屋台(山車)を見学
宮川朝市を通り抜け、川沿いを北へ向かって歩いていくと白塗りの大きな鳥居が見えます。そこを右に曲がると櫻山八幡宮への参道が続きます。高山屋台会館は櫻山八幡宮の本堂へ向かう階段の手前にあります。
高山では山車のことを「屋台」と言います。絢爛豪華な外形には、繊細な木工細工、織物、染物、絵画などが施されており、日本の伝統工芸のすべてがこの屋台に集約されているかのように見えます。
高山祭は春に日枝神社で、秋に桜山八幡宮で開催されます。屋台は春秋合わせて23基あります。そのうちの4つが定期的に入れ替わって高山祭屋台会館の館内に展示されます。
お目当ての屋台を見たい方は、事前に高山祭屋台会館公式サイトでご確認ください。
- 屋台:float ※屋台を翻訳機にかけると”food stand”(本来の意味の屋台)と訳されるので注意
- 木工細工:wood work
- 織物:woven fabric
- 染物:dyed fabric
- 絵画:painting
- 神社:shrine
- 祭:festival
- 展示品:exhibit
通訳ガイドの方へ
じつはこの高山屋台会館、エージェントから仕事を引き受けた通訳ガイドの方にとって少し注意が必要なスポットです。
というのは、高山屋台会館が旅程に含まれているかどうかで入場料を負担する人が変わるためです。高山陣屋はたいていのツアーに含まれていますが、高山祭屋台会館は含まれていたり、含まれていなかったりします。
【高山祭屋台会館がツアーに含まれている場合】
通訳ガイドが入場料を立て替えて支払い、ツアー終了後に請求書に記載してエージェントに支払額を請求
【高山祭屋台会館がツアーに含まれていない場合】
入館料が旅程(お客様が支払ったツアー代金)に含まれていないことをお伝えし、お客様に入館のご意向を確認したうえで、お客様に入館料を支払っていただく
入館料も大人1,000円と少し高めなので、エージェントやお客様とトラブルがないよう気を付けましょう。
高山陣屋|国内で唯一現存している江戸幕府の代官所
高山陣屋は江戸幕府の出先機関として唯一現存している建物です。そのため、幕政の雰囲気を知りたい方には見逃せない建物になっています。もちろん、そこまで江戸幕府に興味がない方にとっても当時の様子が窺い知れる貴重な施設なので訪れる価値は十分にあります。
欧米圏では江戸時代のことを知っておられる方も少なくないので、高山陣屋は江戸幕府の雰囲気を感じ取ってもらうのに最適な観光スポットです。
高山陣屋は高山祭屋台会館から古い街並みを観ながら南へ15分ほど歩いた先にあります。江戸幕府の施設として唯一現存している建物です。
高山陣屋はとても大きな建物です。建物内には代官の生活空間があるほか、幕府役人や地役人の事務部屋、大会議室、応接間、台所、庭園、米蔵、法廷など幕府行政に関わったあらゆるものが詰め込まれた建物です。
- 幕府:shogunate
- 江戸時代:the Edo period
- 代官:magistrate
- 役人:official
- 正座:sitting on one’s knee(「膝の上に座る」という意味)
- 米蔵:rice storehouse
- 法廷:court
さんまち通り|日本文化を感じられるグッズが目白押し!?
高山市の中央に位置する古い町並みが見られる「さんまち通り」は、古き良き日本の庶民文化を感じられる人気の観光スポットです。黒塗りの町屋が立ち並んでいる商店街を歩いていると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。
さんまち通りには、飲食店のほか味噌屋、だんご屋、造り酒屋、土産物屋などが所狭しと商いをしており、買い物を楽しむ外国人観光客がものすごく多いです。
ご当地キャラとして有名な「さるぼぼ」も販売しているので、お客様にお勧めできます。それほど高くないし、小さいから持ち運びも楽なので。
ちなみに、さるぼぼに顔がないことを不思議に思うお客様もいらっしゃいましたが、これには理由があることを説明してあげましょう。
さるぼぼは見ている人の心の有り様を映し出すと信じられているため、あえて顔が描かれていないのです。
「お客様が嬉しいときは嬉しそうに、お客様が悲しいときは悲しそうに、お客様がイライラしているときはイライラしてるように見えるのですよ」と言ってあげると、意外に納得していただけますよ。
- だんご:dumpling
- 造り酒屋:sake brewery
- さるぼぼ:baby monkey doll
- 町人:townspeople
- 庶民:commoner
まとめ
今回は外国人観光客に大人気の高山を特集しました。新型コロナウイルス感染症が5類に移行されたことにより、とても多くの訪日外国人観光客が増えましたね。
僕は英語通訳ガイドなのでお連れしたのは欧米系のお客様ばかりでした。欧米人のお客様にとって、日本の伝統文化は自分たちとはまったく異なって目に映るため、知りたいことが盛り沢山です。異質なものを、いかにお客様の腑にストンと落ちるように説明してあげられるかが通訳ガイドの腕の見せどころですね。
通訳ガイドにとって高山のお仕事は大変やりがいがあります。高山は古き良き日本の面影を感じられる町。宮川朝市へ行けば地元農家さんと会話を楽しみながら買い物が楽しめます。高山陣屋を訪れると江戸時代に建てられた代官所の威容を間近に感じられます。
通訳ガイドを目指している方、ぜひ一度高山へ足を運んでみてください。きっと日本の伝統文化の魅力を感じられ、ガイディングに弾みが付くと思います。
それでは、また!